8.冠詞とリズム

冠詞は、リズム的には、非常に弱い音で、ほとんど聞き取れません。
しかし、意味的には重要です。
冠詞は必ず名詞をともなう形容詞です。
形容詞には意味があるように、冠詞には意味があります。
形容詞ですから、必ず、あとに、名詞がきます。

冠詞は、学校教育では、日本人の最大の難関物として、ながいこと、
丁寧に教えられてきませんでした。
その結果
  a --- 1つの
  the--- その
程度の知識で、英語の世界にアプローチしていたのが現状です。
 
英語には、てにをは の助詞がありませんが、名詞が活用するのです。
そして、それぞれは、日本語に正確に訳出できるのです。
( ) pen 姿形の定まらないペン ( )は無冠詞をあらわします。
a pen   ふつうのペン
the pen   1つに決まるなじみのあるペン
( ) pens   様々なばらばらにあるペン(複数)
the pens   1つに決まる一括のなじみのあるペン(複数)

神の視点(パースペクティブ)で説明すれば、わかりやすくなります。
万物の創造主である神は、この地球にさまざまなモノ(名詞)を
つくったと考えます。
その最初は、概念です。
そこには、姿形がありません。
それに、姿形を与える機能が、aの持つ機能です。
有形化機能、有界化機能です。
概念に、姿かたちをあたえ、見れたり、触れたり、感じたりできます。
たったひとつでなく、地球上にたくさん同じようなものをつくります。
aに、同じという意味がうまれてきます。
たくさんあるものは、ふつうのモノで、とくに取り立てていわない
ので感情がこもりません。
たんたんとした感じです。
このモノが、ある考察した空間に複数ある場合があります。
英語では、そのことをはっきり、言語で明示します。
( ) pensのようになります。
そこには、何本あるかわからないが、ペンがたくさんあるという
感じです。
一本一本のペンには、意識がいきません。その集団に対して
特別な感情はいだかず、なじみもうすいわけです。

たくさんあるペンでも、あなたのお気に入りができたとします。
あるいは、大嫌いなペンができたとします。
この特別な感情をもたせるものを、theで表現します。

ふつうは、好きなもの、日常日々接するものにつけます。
なじみの感情がうまれてきます。
the penというと、なじみのあるペン(単数)という感じになります。
the pensというと、なじみのあるペン(複数)という感じになり、
一本一本の個別要素にも意識がはたらき、個数もわかり、全体が
あたかも一つの集団を形成します。

the pens型の名詞
  the Beatles, the Giants, the Johnsons(ジョンソン家、夫妻)

英語感覚ができると、Beatlesと聞くと、なにかおかしい感じになり
ます。なにかバラバラしている語感になります。
the Beatlesにすると、4名いて、その個々のメンバーまではっきり
意識し、なじみ感がうまれます。
theには、世界唯一性、まとまり感(一式)の意味があります。
このことを知っていると、すごく英語が読みやすくなります。
the thrill of ( )victoryは、勝利のスリルというよりも
勝利のもつ特有なスリル感という感じになります。
( )thrillですと、概念だけですが、the thrillにすると
実際体験したことのある感情、おなじみのスリル感という感じに
なります。

例文 ( )Birds of a feather flock together.
Birdsの前には、冠詞がつきませんので、様々な鳥(複数)を
意味しており、具体的な鳥の種類(カラス、すずめなど)を
情報として提示していません。
the birdsにすると、具体的な一匹一匹の鳥について話者は意識して
いることになります。
この場合、鳥なら何でもいいので、Birdsが選ばれるわけです。
a featherというのは、この世にある実にたくさんある羽のなかから
たまたま一本選び出した、ふうつの変哲のない羽ということです。
その1つの羽をもった鳥が複数集まっているわけです。
したがって、同じ羽という意味になるわけです。
the featherとすると、世界唯一の羽だけをあらわしますし、聞き手
には、それが、どんな羽かすでにわかることを話者は前提とします。
この場合は、a featherが選ばれるわけです。

例文 A bird in the hand is worth ( ) two in the bush.
この英文で、日本人が迷うのは、handやbushの前のtheだと
おもいます。
無冠詞にすると、概念になるので、冠詞は必要です。
では、aなのか、theなのか?
一本の手なら、a handではないのか?あるいは、your handか?
bushは、bushes、the bushesになるのか?
といろいろ迷うわけです。
また、twoのまえに、theがつくのかどうかも迷うことになります。
面倒くさいので、丸暗記して、結局忘れてしまうのが
いままでの学習法でした。
この場合は、a bird と two (birds)の数の対立と
the handとthe bushの場所の対立があることを意識してください。

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